近年、賃貸物件を借りようとすると「家賃保証会社必須」条件を見かけるようになりました。居住用不動産における家賃保証会社とは何なのか、このような保証会社を使うメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
で、家賃保証会社って何なのさ?

家賃保証会社(賃貸保証会社)というのは、一般的に、賃貸借契約に必要な連帯保証人の代わりに家賃の滞納などがあったときに代わりに払ってくれる会社のことを指します。1990年代後半頃からその存在が確認されており、一時期は悪質な取立などが社会問題化しましたが、2021年に業界団体である一般社団法人全国賃貸保証業協会(https://jpg.or.jp/index.html)が発足し、業界内での自主規制や滞納情報の共有などが行われており、現在に至ります。
家賃保証を付けるメリットはなに?

まずは家賃保証会社を付けることのメリットを列挙してみましょう。
1.保証人不要で契約が締結可能
賃貸保証会社に加入することで、保証人を立てる必要がなくなります。保証人を立てるためには、家族や友人などから頼み込む必要がありますが、居住用賃貸保証会社に加入すれば、保証人探しの手間が省けます。
2.賃貸物件の選択肢が増える
賃貸物件のオーナーは、入居者が支払い不能になるリスクを回避するために、保証人を求めることがあります。しかし、保証人がいない場合には、入居者として選ばれることが難しくなります。家賃保証会社に加入することで、賃貸物件の選択肢が広がり、理想の物件を選びやすくなります。
3.解約時にも役立つ
賃貸借契約を解約する場合には、退去費用がかかることがあります。しかし、家賃保証会社に加入している場合には、解約時のトラブルにも対応してくれることがあります。また、家賃滞納などのトラブルがあった場合にも、家賃保証会社が代わりに支払ってくれるため、オーナー側から立ち退きなどの請求を受けることを(一時的に)回避できます。
以上のように、家賃保証会社に加入することで、入居者にはメリットがあります。賃貸物件の選択肢が増え、解約時のトラブル対応も期待できます。しかも、加入することで賃貸物件を借りるための条件が緩和される可能性があるため、賃貸物件探しをする際には家賃保証会社に加入することを検討すると良いでしょう。
ただし、家賃保証会社に加入するには一定の条件があり、収入や年齢などに制限があることが多いため、加入できるかどうか事前に確認することが大切です。また、保証範囲や補償内容によって異なるため、加入前には詳細を確認しておくことが重要です。
メリットはなんとなく分かったけど、デメリットもあるんじゃないの?
続いて家賃保証会社に加入することのデメリットも見てみましょう。
1.費用がかかる可能性がある
家賃保証会社に加入するには、保証料が必要です。これらの費用は、通常、賃借人が負担することになる場合が多いです。また保証契約更新時に更新料が掛かる場合もあります。
2.審査が厳しい
家賃保証会社は、賃借人の信用力を審査します。賃借人の信用力が低い場合、保証会社に加入できない可能性があります。
3.支払いに時間がかかる
賃貸物件の家賃が滞納した場合、賃貸契約書に基づいて、家主は家賃滞納者に対して、法的手続きを行うことができます。しかし、保証会社が介入するため、支払いに時間がかかる場合があります。
4.契約内容に制限がある場合がある
家賃保証会社によっては、契約内容に制限がある場合があります。たとえば、一部の家賃保証会社では、賃借人がペットを飼うことを禁止する契約を結ぶことが条件になっている場合があります。
以上のようなデメリットがあるため、家賃保証会社に加入する前に、契約内容をよく確認し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
で、結局どうなのよ?

ざっと、家賃保証会社のメリット、デメリットを見てみましたが、結局のところ、賃貸物件によっては「保証会社必須」となっている場合があり、その場合には家賃保証会社に加入しなければ、その物件に入居することが出来ません。つまり、家賃保証会社を使わなければ、物件の選択肢が減ることになります。
ただ、どの家賃保証会社と契約するかは選択肢があることを知っておいてください。一般的に、審査が厳しい保証会社ほど料金は控えめですし、万一の立替払いが生じたとしても紳士的な取扱です。賃貸仲介会社が、保証会社を紹介してくれると思いますが、選択肢があるかどうかは確認してみてください。
以上、今回は、賃貸保証会社のメリット、デメリットについて書いてみました。
保証会社によっては、立替払いをしたあとの取立が厳しい会社もあると聞きます。業界団体加入の保証会社など大部分の保証会社は、自主規制などでルールやモラルを守った運用をしていますが、業界団体未加入の保証会社などと契約すると、家賃滞納などで立替払いが行われたあと悪質な取立に遭うこともあります。保証会社の取立に悩んだら、ぜひ専門家(弁護士)に相談してみてください。きっとあなたの味方になってくれますよ。