大家さんが交代!?賃貸人変更通知書って何?

世間で「勝ち組」、「負け組」などと言われるようになってずいぶん経ちますが、不動産の世界(大家さん業界)でも格差社会が浸透し、いわゆる「負け組」に転落する方も散見されます。今回は、突然「大家が交代する」という通知が来たケースを考えてみましょう。

ある日突然やってくる「賃貸人変更通知書」

平穏に賃貸住宅に住んでいて、ある日突然、見知らぬ不動産業者などから手紙が届くことがあります。中を見ると「賃貸人変更通知書」なんて書いてあったらびっくりしますよね。これは法的に定められた通知ではないので、タイトルは様々ですが、推測するに「大家さんが替わった」のであろうことはなんとなく分かります。一体どういうケースなのでしょう。
実は、賃貸不動産において、大家さんが替わること自体は、それほど珍しくありません。前書きで少し触れましたが、今までの大家さんが「負け組」に転落してしまったために大家さんが替わるのか、といえばそうとも限りません。賃貸不動産の所有者(大家さん)が替わるされる理由は様々です。相続や高齢で管理できなくなっため、別物件購入(資産組替)のため、お金が必要になったから、ローンが返済できない、etc.etc.。後半の理由は少し怪しくなってきましたよね。前半の理由は何ら問題ありません。特に相続なんて、人間はいつか死んでしまうので、どうしようもありません。問題は後半の理由です。賃貸物件の居住者にとって、大家さんの資産状況の悪化は、様々な影響があり、特に大家さんの変更は、良くも悪くも居住者に小さくない影響を与えることがあります。

大家さんの変更で受ける居住者が受ける影響

大家さんの資産状況が悪くない状態での「賃貸人変更」は特に問題ありません。おそらく賃貸人変更通知書にも今までの大家さんと新しい大家さんの両方のお名前が有り、もしかしたら、確認書のようなものに記名押印をして返送してください、なんて書いてあるかも知れません。これは単純に大家さんが替わっただけ。今までどおり家賃を払っていれば平穏に住まい続けることが出来ますし、退去の際は、通常どおり敷金の清算が行われます。
問題は資金繰りが悪化した大家さんの場合。不動産競売で執行官がやってきた!なんて場合は、多少は覚悟をされていたかと思いますが、その後、一方的に賃貸人変更通知書などが届いた場合、法的には敷金が引き継がれない場合がある、というか、むしろその可能性が高いです。もしかしたら、すぐに退去して欲しい、なんてことを言われるかも知れません。こればかりはケースバイケースなので、一概には書けません。敷金が引き継がれるケース、退去しなくてもいいケース、非常に複雑な条件がいくつもありますので、心配な方は不動産に詳しい弁護士に相談してください。
他方、悪い影響ばかりではありません。資金繰りが悪化していた大家さんの場合、その多くは修繕や共用部分のメンテナンスが疎かになっています。競売や資金繰り悪化後に大家さんが変更した場合、新しい大家さんによって、メンテナンスが急速に進むこともしばしばあります。今まで何度連絡しても直して貰えなかった箇所がある方は、新しい大家さんに一度連絡してみてはどうでしょうか。

大家さんが替わって、生活が快適になった!

不動産は非常に高額になることが多く、大家さんにとっても決して安い物ではありません。大家さんになる方は、銀行借入などでリスクを取って不動産を購入し、それを管理し、貸し出すことで利益を得ていますので、時には大きな被害を受けることもあります。ただ、被害を受けたことを言い訳に管理を疎かにすることは、その不動産を借りて生活する方に対し、礼を失しています。このような場合、生活者である賃借人は、管理をしっかりして貰おうと申し入れをしても聞いて貰えないこともしばしばです。度重なる法改正で賃貸借関係はずいぶん対等になったと言われていますが、まだまだ賃借人の立場は弱いままであることも多くあります。
大家さんが替わって、管理が改善した!不具合箇所が修理して貰えた!など、生活環境が良くなるきっかけになることも多くあります。もちろん大家さんが替わらなくても環境改善を求める権利があります。いきなり聞き慣れない手紙が届いたとしても焦らず落ち着いて対応すれば、案外、生活が快適になることがあるかも知れません。

以上、今回は、賃貸人変更通知書を届いたとき、について書いてみました。

よく分からない手紙が届いたときでも、落ち着いて対応すれば生活環境が良い方向に変わることもあります。もちろん詐欺的な手紙も多く存在します。聞き慣れない手紙に悩んだら、ぜひ専門家(弁護士)に相談してみてください。きっとあなたの味方になってくれますよ。